雛人形について

  • 山形地方のひな人形について

    目次

    ひな人形を見に行く『お雛見』の文化について

    山形庄内地方では3月上旬から4月上旬まで、商店街や旧家でひな祭りが開催され、そのときにお内裏様が公開されます。

    鶴岡、酒田地方では、ひな人形を見に行く事を『お雛見(おひなみ)』といって、この時期は、いろんなところで雛を見に行ってもいい習わしがありました。いろんな雛人形があり、賑わいと華やかさが街にみなぎります。

    鶴岡城下町「致道博物館」の雛人形について

    画像引用:致道博物館Twitterより)

    鶴岡の「致道博物館 (ちどうはくぶつかん) 」では、旧庄内藩主酒井家所蔵の雛人形が多く展示されます。この場所は旧鶴ヶ岡城の三の丸にあたる場所で、館長の酒井忠久さんは酒井家18代の当主でもあります。桃の節句の季節には旧庄内藩藩主酒井家に伝わるひな人形や雛道具を中心に市内旧家のひな人形が展示公開されます。

    雪が溶けて、もうすぐ春の時期にこのような立派なひな人形が展示・鑑賞できるのはいいですね。

    酒井という名字は徳川四天王の筆頭家老「酒井忠次」の家系で、保管されている雛人形は そのほとんどが江戸で作られたもので 江戸時代に山を超えて持ち込まれました。鶴岡に輿入れを行った時に、姫君が嫁入り道具の一つとして、持ってきたものも多いです。
    酒井家の雛は大名家らしく、公家装束の有職雛が多く、品のいい顔立ちをしているのが特徴です。

    酒田の豪商「本間家」のお雛様について

    (画像引用:本間美術館HPより)

    酒田地方は、北前船で米や物資等を京都まで運んでいました。そのため、京都の様々な文化が入り、それを最上川を通って山形内部に伝える一大拠点なのです。
    江戸時代は「西の堺、東の酒田」と言われるほどの商業都市として栄えていました。
    本間家はその中心として栄えた豪商で、明治時代以降は日本一の地主として有名です。本間家旧本邸では2月~3月の間に展示されます。

    戦火を逃れて、江戸時代からあるひな人形は品に満ちた表情と鼻筋が整った顔と表情が特徴的です。

    鶴ヶ岡城跡にある「荘内神社」のひな人形について

    (画像引用:荘内神社HPより)

    鶴ヶ岡城跡にある「荘内神社」は土地の人々から「神社はん」と呼ばれて親しまれています。旧藩主酒井家3代を祀っている神社で、旧家より奉納された江戸時代のひな人形や竹田人形、御所人形等を展示しています。

    立ち雛、寛永雛、押し絵雛、そして、相生さまと呼ばえる百歳雛などが多様な人形があります。特に、共白髪になるまで仲睦まじくという願いの込められた百歳雛は珍しいです。

    羽黒町の「松ヶ岡開墾記念館」には土人形雛が展示されます。
    松ヶ岡開墾記念館は明治維新で仕事をなくした武士たちの共同作業で始まった、開墾の拠り所となった場所です。ここには鶴岡出身の田中正佐さんが25,000点もの土人形コレクションを寄贈しています。
    昔は優美なお雛様たちはほんの一部の人だけのもので、庶民が愛したのは、このような土ひな人形だったのですね。

    まとめ:山形の雛人形は独自のひな人形文化が盛り沢山

    山形県の西部にあって、日本海に面している庄内地方は北前船や城下町で賑わい多種多様のひな人形文化が今でも存在しているために、独自のひな人形が形成されています。特に江戸時代の文化が盛り込まれているのが特徴です。
    一年に一度のひな祭りの時期は歴史と風格のあるひな人形や文化に出会える庄内地方。厳しい冬が過ぎ、雪解けの最中にあるひな祭り行事は魅力的ですね。